精油学総論/精油の化学

精油の成分

精油成分の多くは、炭素原子(C)と水素原子(H)の化合物である炭化水素から成り、  
炭素原子同士の結合の仕方や、官能基の種類によって、分類される。 

炭素原子間のつながり方

 1.飽和結合と不飽和結合
   ・炭素には手が4本あるが、4本すべてに他の原子が繋がっているものを
    飽和結合
といい、安定しているので酸化しにくい
        
   ・炭素原子の4本の手の内、2本が他の原子とつながり、
    同じ炭素原子同士と残りの2本で繋がっているものを不飽和結合
という。
    これを二重結合といい、その手は切れやすく、切れた手には酸素原子(O)が
    つくので、酸化しやすい
   
 2.鎖状構造と環状構造
    ・炭素が直線状につながり、余った手に水素が繋がっている構造を、鎖状構造という
    このような鎖状炭化水素やその誘導体の有機化合物を、脂肪族化合物という。

   ・炭素原子6個を基本単位として、環状に繋がった構造を環状構造という
    また1個おきに二重結合があるものをベンゼン環という。

C4H10
鎖状結合、飽和構造

C4H8
鎖状結合、二重結合をひとつ持つ不飽和構造

  3. 芳香化合物
   分子内にベンゼン環をもつ有機化合物の総称
   (芳香族炭化水素とその誘導体を含む)

C6H6
環状結合(ベンゼン環)、不飽和構造(二重結合が3つ)
*6角形の頂点は全て炭素(C)です。

官能基

    水酸基 -OH,  アルデヒド基 -CHO などがあり、    
    炭化水素にこれらがつくことで、その化合物の性質がだいたい決まる。
    精油の場合は芳香(香り)も決まってくる。

C6H5OH
ベンゼン環に水酸基(-OH))が付いたもの
*6角形の頂点は全て炭素(C)。
 水酸基が付いているところ以外の5箇所の炭素(C)には水素(H)がついている。

精油成分の分類

 ・精油の構成成分のほとんどは、テルペノイド分子(=テルペン類)
  (テルペノイドとは「テルペンのような」の意味)
  テルペン類の大部分は、その構造の中のどこかに二重結合を持つ不飽和炭化水素で、
  炭素5個と水素8個の、イソプレン(C5H8)の重合物である
 
   例)  モノテルペン: 炭素数 10個
        セスキテルペン: 炭素数 15個
        ジテルペン: 炭素数 20個

  ・官能基のついている分子
    アルコール類: 炭化水素に水酸基(-OH)がつく、テルペンアルコール。
       モノテルペンアルコール
       セスキテルペンアルコール
       ジテルペンアルコール
       芳香族アルコール

    アルデヒド類: 炭化水素にアルデヒド基(-CHO)がつくと、テルペンアルデヒド。
       テルペンアルデヒド(皮膚刺激がある)
       芳香族アルデヒド
       脂肪族アルデヒド

    ケトン類: 炭化水素にカルボニル基(=O)がつくと、テルペンケトン。(神経毒性あり)
        テルペンケトン
        環状ケトン

    フェノール類: ベンゼン環の二重結合のところに直接水酸基(-OH)がつくので、反応性が強い(=刺激性が強い
        芳香族フェノール

    エステル類: アルコールと酸類から生成される。これを多く含む精油は芳香がよい。
         例) リナロール+酢酸 → 酢酸リナリル
 
    酸化物(オキシド類): 
         -C-O-C- のように炭素原子の間に酸素原子が挟まれた形で存在。

    ラクトン類: -CO-O-という原子団を含む。
           分子サイズが大きいので、蒸留しても採取されない場合が多い。
           圧搾法などに多く含まれる

 例) クマリン誘導体のフロクマリン類にベルガプテンやベルガモテン。
   ベルガプテンは、5-メトキシソラーレンのこと。
   脱フロクマリン処理をした精油も売られているが、
   加工されたものなので、FCF(フロクマリン フリー)と注記されている(=光毒性の回避)

    カルボン酸類: -COOH という原子団を持っている。
              精油の中では非常に少なく、エステルの状態になっている。

              ケイ皮酸→ケイ皮酸エステル
         
 30種の精油に含まれる成分を、上記の分類で表にしました。
 成分の分類表こちらをクリック 

基本的に語呂合わせで覚えることはしないのですが、
試験間近になってもなかなか覚えられず、「イクラ4貫攻め!」なんて作ってしまいました。
これはリナロールを含む精油で、「イクラ4柑ゼメ」で、ランイラン、クラリリセージ、グレープフルーツ以外の柑橘類4つ(オレンジ・スイート、ネロリ、ベルガモット、レモン)、ラニウム、リッサの略です。
皆さんも独自の工夫でがんばって覚えてくださいね。