第4章 1アロマテラピーのメカニズム

ポイント 
2級でも、どのような経路で全身に伝わるかを学習しましたが、1級ではもう少し詳しく理解しましょう。

嗅覚から脳に伝わる経路

  精油の分子は、嗅細胞から出ている嗅毛でキャッチされ、嗅細胞が興奮する。
  その刺激は電気的信号(インパルス)に変換され嗅神経に伝わる
  その後大脳の嗅球、嗅索を経て大脳辺縁系に到達する。
  少し遅れて大脳皮質の嗅覚野に伝わり「におい」として認識する。

  例) たとえばラベンダーのかおりを嗅いだとき、
  「いいにおいだな」と感じるのは大脳辺縁系で、
  「これはラベンダーのかおりだ」と認識するのが大脳皮質の嗅覚野です。

脳のしくみ

私たちの身体には中枢神経系と末梢神経系がありますが、
脳は中枢神経系で、感情が行動を支配する大事な器官です。
脳は大脳・脳幹・小脳に分かれていますが、それぞれについて見ていきましょう。

大脳

大脳は、左右の半球に分かれていて、脳梁でつながっています。
それぞれの中心には大脳核があり、これは全身運動の調整装置。

大脳核は髄質(白質)に包み込まれており、その外側は2~3mmの薄さの皮質(灰白色)で覆われています。

大脳皮質は、新皮質と古皮質・旧皮質に分けられ、新皮質は論理的な思考、判断、言葉を話すなど、
高度な知識活動を営む場で、古皮質・旧皮質は大脳核とともに、大脳辺縁系という機能単位を構成し、
本能活動(食欲や性欲など)や情動、記憶の中枢となっています。

脳幹

脳幹は、間脳(視床、視床下部)、中脳、橋、延髄のことで、大脳半球と脊髄をつないでいます。

 ・延髄ー生命維持にとって需要な中枢。
     (心拍、血圧、呼吸、嚥下、せき、くしゃみ、平衡など) 

 ・橋ー大脳と小脳の中継地点

 ・中脳ー視覚、聴覚の情報の中継地点

 ・間脳視床は感覚情報を大脳皮質の中枢感覚野へ中継。
      視床下部は自律神経をコントロールするはたらき。
      (体温調整、摂食や水分摂取、性行動などの本能行動の調節、
      下垂体と密接に連携し内分泌系(ホルモン)の調節)

参考)脳幹の覚え方。
   脊髄から上に「え・き・ち・か」の順
です。
      か=間脳
      ち=中脳
      き=橋
      え=延髄 (この下は脊髄です)

小脳

小脳は身体運動のバランスを保つ中枢

嗅覚の生理メカニズム

生物の進化において嗅覚は早期に発達した原始的な感覚で、五感の中でも特殊な感覚といわれている。

視覚や聴覚の刺激を受け入れる1次中枢は、視覚野や聴覚野で大脳新皮質にあり、そこで認識された後、
大脳辺縁系に伝わるが、先に書いたように、嗅覚は1次中枢が大脳辺縁系なので、
大脳皮質の認識を待たずに、すぐに身体調整に関わることができる。

大脳辺縁系(情動脳)

大脳辺縁系とは、「古皮質・旧皮質が間脳や脳梁を環状に取り囲み、これらの部分を縁どっている」という意味で、
嗅球、嗅索、扁桃体(情動反応をおこす)、海馬(記憶の中枢)などが含まれる

よって、大脳辺縁系は私たちの身体の生命維持・種族保存に関する重要な中枢であり、
視床下部と連携しながら自律神経や内分泌(ホルモン)機能の調節や、本能行動の制御もしている。

大脳辺縁系とアロマテラピー

アロマテラピーは、大脳辺縁系の特徴を有効に活用して行う、癒しの方法。

 ・精油のにおいを嗅ぐ→嗅覚から大脳辺縁系→視床下部
  ⇒自律神経を整え、身体の機能を調整するという自然療法
 ・心地よい香り→嗅覚から大脳辺縁系
  ⇒過去の楽しい記憶と結びついたり、気分に作用したりという
   心理的効果もある。

心身とアロマテラピー

ストレス症状の緩和にとても役立つ(=心と身体のバランスを取り戻す)理由:

     ・「精油の成分が、脳の神経細胞から出されるいろいろな神経伝達物質の放出に関わっている
      のではないかと考えられてる。
     ・におい物質の中には免疫力を高める作用もある
         =ストレスに耐えられる身体を作る。

血液循環による経路

精油がどこの血管から吸収されるかによって3つの経路がある。

呼吸器から
 香りを呼吸とともに吸い込む→気道の粘膜や肺胞→血管→体内を循環

 このとき精油の種類によっては直接、気管支や肺に作用(痰や咳を鎮める)

皮膚から
 精油成分の分子構造が小さく、親油性のために皮膚から吸収される。
 トリートメント→皮膚内の真皮→抹消血管やリンパ管→体内を循環

 このとき精油成分の種類によっては、皮膚内で作用(保湿成分を補ったり、肌を引き締める)

消化器から
AEAJでは精油を経口することはすすめていない。(誤飲には要注意)
 理由: 消化管粘膜に対する刺激
      内服すると精油の成分がすべて吸収されるので、肝臓や腎臓に、毒性を及ぼす恐れがある。

精油成分の薬理作用

*プラスの作用

      殺菌・抗菌・抗ウイルス作用
             リナロール(ラベンダーなど)
             メントール(ペパーミントなど)
             シトラール(レモングラスなど)

      鎮痛作用

             酢酸リナリル(ラベンダーなど)
             ゲラニオール(ゼラニウムなど)

      鎮静作用
             酢酸リナリル(ラベンダーなど)
             アンゲリカ酸エステル類(カモミール・ローマン)

      消化・食欲増進作用
             リモネン(柑橘系精油)

      ホルモン調節作用
             スクラレオール(クラリセージなど)

      去痰作用(痰を切る)
             1.8-シネオール(ユーカリなど)
             カンファー(ローズマリーなど)

      *他に鎮痙・利尿・免疫賦活・駆風(腸内ガスの排出)作用などがある。

*マイナスの作用
  使用方法をきちんと把握していれば避けられるもの

        皮膚刺激・粘膜刺激
              精油の中には、かぶれや荒れの原因になるものもある。

          対策)皮膚などにつけるときには、必ず希釈する。
              濃度や滴数に注意する。
              事前にパッチテストを行う。

        光毒性
              強い紫外線に反応して皮膚に炎症をおこすなどの毒性を示す。

          対策)外出前、外出中には、成分にベルガプテンを含む精油を使用しない。
              (ベルガモット、レモン、グレープフルーツ)

         感作
             感作とは免疫機構に基づくアレルギー反応のこと。
             体質によっては精油成分の一部に対して、アレルギー反応で炎症を起こす可能性がある。

          対策)事前にパッチテストを行う。